LED交換費用は全額損金処理できる
2012年5月17日 | 税金の基礎知識
国税庁が損金処理を認めた!
LEDの交換費用に関する取扱いが国税庁HPで公開されました。
これまで『1スイッチ当たりで判定する』という議論が各所でされてきましたが、事前照会で『全額損金算入できる』と説明がされました。
なんだよ!
今頃、言うな!!!!!
とも思いますが、これで取扱いがはっきりしたことになります。
国税庁のHPは以下のものです。
『自社の事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた場合の取替費用の取扱いについて』
蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えることで、節電効果や使用可能期間などが向上している事実をもって、その有する固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増しているとして資本的支出に該当するのではないかとも考えられますが、蛍光灯(又は蛍光灯型LEDランプ)は、照明設備(建物附属設備)がその効用を発揮するための一つの部品であり、かつ、その部品の性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとまではいえないと考えられますので、修繕費として処理することが相当です。
税務通信では、LEDランプそのものだけではなく、安定器の対価も損金算入できるとされています。ただし、『LEDを利用するために必要な作業であれば、(中略)修繕費に該当するといえるようです。』と若干消極的ではあります。
3月決算申告期限ギリギリでの見解の公表となりました。
国策としてLED普及促進を税制面でもサポートすべきだと以前から考えていました。
特別な税制を設けて対応するのかと思っていたところ、「一つの部品」というロジックで来るとは想像していませんでした。
いずれにしても、決算への折込が可能な会社は、是非ご検討いただきたいと思います。
上場会社は既に決算が確定しているはずなので、どうするんでしょうかね!?
複製画は経費処理できる
2012年5月16日 | 税金の基礎知識
なんでもかんでも非償却なわけではない
応接室などに飾る絵画などを非償却の資産として処理していませんか?
購入価額が高くても減価償却資産にできることがあります。
法人税基本通達 7-1-1
書画骨とう等
書画骨とう(複製のようなもので、単に装飾的目的にのみ使用されるものを除く。以下7-1-1において同じ。)のように、時の経過によりその価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないのであるが、次に掲げるようなものは原則として書画骨とうに該当する。
(1)古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
(2)美術関係の年鑑等に登載されている作者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等
(注)書画骨とうに該当するかどうかが明らかでない美術品等でその取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号ニ万円)未満であるものについては、減価償却資産として取り扱うことができるものとする。
要するに、
- 複製画はそもそもここでいう書画骨とう(非償却資産)にならない
- がん作であることがわかっている作品も書画骨とうにならない
- 取得時点で美術年間に名前が掲載されていない作者の作品は書画骨とうにならないことがある
- 20万円(絵画は号2万円)未満なら書画骨とうにはならない
絵画に関しては形式基準で判断
絵画は取得価額を号で割ってみて、2万円未満なら問答無用で書画骨とう(非償却資産)にならない訳です。
絵画の号は、ここで検索してみてください。
複製品や号2万円未満の絵画でも購入価額が20万円を超えていれば減価償却資産には該当することになります。一括で費用処理できませんけど、減価償却により費用化できますのでご注意ください。
なお、美術年鑑に掲載される価格というのも色々事情があるもののようです。
現役作家の評価が高くなっていることがあるとの指摘もありますから、納得いかない場合には美術品の専門家に相談してみてもよいかもしれません。相続時にいくらぐらいの評価になるのかという目安にもなるかもしれません。
事前確定届出給与の受給を放棄すれば損金不算入額はなくなる
2012年5月14日 | 税金の基礎知識
届出額50万円のうち20万円の支給は不利なだけ!?
事前確定届出給与の取扱いは実務上厄介なものです。
届出(額・時期)通りに支給しないと支給額が損金不算入になってしまうからです。
届出額を50万円としたのに、業績がよくないから20万円だけ支給したら、20万円が損金不算入になってしまいます。
これが年に2回以上の支給で定められていたら厄介です。
たとえば、
3月決算の会社で、7月に50万円、12月に50万円をそれぞれ支給するものとして所轄税務署に届出ていたとします。
7月は満額の50万円を支給し、12月は20万円だけ支給したら、70万円(50万円+20万円)が損金不算入になってしまうからです。
中途半端な支給をするなら受領を辞退してしまうのも方法
中途半端な支給をするから法人税の課税を受けてしまうわけです。
そうであるなら、全額もらわなければOK!?という考えも出てきますよね。
そうなんです。
その職務執行期間中(定時総会から次の定時総会まで)の事前確定届出給与分としての実際支給額が損金不算入になるのですから、届出通り支給されなければ、損金不算入額はゼロになってしまうだけです。
不支給の場合の手続きを間違えなく行うこと
支給を行わないのであれば、きちんとした手続き(書類作成)をしておかなければなりません。
必要書類は、
- 役員からの事前確定届出分報酬の受領辞退書
- 受領辞退申し出に基づく取締役会での不支給決議
上記の書類は、作成すればよいというものではありません。
日付が重要となります。
事前確定届出における支給日より前の日付でなければなりません。
【所得税基本通達 28-10】給与等の受領を辞退した場合
給与等の支払を受けるべき者がその給与等の全部又は一部の受領を辞退した場合には、その支給期の到来前に辞退の意思を明示して辞退したものに限り、課税しないものとする。
(注)既に支給期が到来した給与等の受領を辞退した場合については、181~223共-2及び181~223共-3参照
事前確定届出給与に関しては、株主総会の決議等で定めた支給日を給与所得の収入確定日とされています(所得税基本通達逐条解説36-9の解説部分)。
この日付を過ぎると、上記注書きの取扱いになります。要するに源泉徴収義務が発生します!ということです。
役員報酬の支給は会社と役員との間の委任契約を根拠とします。役員報酬に関する委任契約は双務契約であるため、いずれか一方だけの意思表示では完結しません。よって、上記2つの書面が不可欠となります。
できれば、それぞれの書類に確定日付をとっておいたほうがよいでしょうね。