計画停電と休業手当
2011年3月16日 | 時事
現在、計画停電が断続的に実施されています。
製造業において計画停電は重大な問題になっていることと思います。
はい、今日は何時から停電にするかもしれません!
なんていわれても、サービス業のようなわけにはいきません。
設備の立ち上げが瞬間で行えるものから長時間かけて立ち上げるものもあれば、稼動停止までにある程度のまとまった時間を要するものもあるからです。結局、3時間の停電であったとしても、前後の運転時間のリードタイムを含めると4-5時間も要してしまう場合もありえるからです。また、前後工程のリレーションのアイドルタイムの問題も多々あることでしょう。
こうしたときに問題になるのが、労働基準法第26条の『休業手当』の取り扱いです。
労基法26条では、
使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当てを支払わなければならない。
と定められています。
ここで、今回の計画停電が『使用者の責めに帰すべき事由』に該当すか否かが実務上問題になっていました。
これに対し、厚生労働省から通達が緊急で発信されました。
計画停電に関連して休業を検討される場合には、以下の通達要件を十分に立証できるような体制を検討されるべきでしょう。この問題は非常にナイーブな問題であり、個々の企業の実態に影響を受ける問題だと思いますので、顧問社会保険労務士等と十分に協議の上実施されるべきかと思います。
基 監 発0 3 1 5第 1号
平 成 2 3 年 3 月 1 5日
都道府県労働局労働基準部監督課長 殿
厚生労働省労働基準局監督課長計画停電が実施される場合の労働基準法第26条の取扱いについて
休電による休業の場合の労働基準法(昭和22年法律第49号。以下「法」という。)第26条の取扱いについては、「電力不足に伴う労働基準法の運用について」(昭和26年10月11日付け基発第696号。以下「局長通達」という。)の第1の1において示されているところである。
今般、平成23年東北地方太平洋沖地震により電力会社の電力供給設備に大きな被害が出ていること等から、不測の大規模停電を防止するため、電力会社において地域ごとの計画停電が行われている。この場合における局長通達の取扱いは下記のとおりであるので、了知されたい。記
1 計画停電の時間帯における事業場に電力が供給されないことを理由とする休業については、原則として法第26条の使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しないこと。
2 計画停電の時間帯以外の時間帯の休業は、原則として法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当すること。ただし、計画停電が実施される日において、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて休業とする場合であって、他の手段の可能性、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、計画停電の時間帯のみを休業とすることが企業の経営上著しく不適当と認められるときには、計画停電の時間帯以外の時間帯を含めて原則として法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業には該当しないこと。
3 計画停電が予定されていたため休業としたが、実際には計画停電が実施されなかった場合については、計画停電の予定、その変更の内容やそれが公表された時期を踏まえ、上記1及び2に基づき判断すること。
(参考)
基 発 第 6 9 6 号
昭和26年10月11日
都道府県労働基準局長 殿
労働省労働基準局長
電力不足に伴う労働基準法の運用について
最近電力事情の悪化は、全国的問題となり、各方面に深刻な影響を与えつつあるのであるが、労働基準法の適用についても、幾多の困難な問題が生じている。然して、電力問題は、根本的には、電力の確保増強と、その需給調整により左右されるところが大きいことに鑑み、本省においては、公益事業委員会宛別紙の通り申入れを行い電力の確保と需給調整の合理化と計画化について要望したのであるが、貴局においても電力事情の実態を不断に把握し、左記要領により行政運営上万全の措置を講ぜられたい。
第1 労働基準法の運用について
1 法第26条関係
休電による休業については、原則として法第26条の使用者の責に帰すべき事由による休業に該当しないから休業手当を支払わなくとも法第26条違反とはならない。なお、休電があっても、必ずしも作業を休止する必要のないような作業部門例えば作業現場と直接関係のない事務労働部門の如きについてまで作業を休止することはこの限りでないのであるが、現場が休業することによつて、事務労働部門の労働者のみを就業せしめることが企業の経営上著しく不適当と認められるような場合に事務労働部門について作業を休止せしめた場合休業手当を支払わなくても法第26条違反とはならない。
2 以下略
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/other/dl/110316a.pdf
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