「従業員を退職させて退職金支給」は節税になるのか?
2012年5月1日 | 税金の基礎知識
退職金は1/2課税だから決算賞与よりもお得!?
決算対策として退職金を支給してしまえ!
いろんなことを考える人がいるものです。
こういう考えをもつ経営者はかなり税法に詳しい方です。
退職所得 = ( 支給総額 - 退職所得控除 ) × 1/2
と計算しますから、決算賞与として従業員に金銭を支給するよりも従業員の負担は軽くなるし、退職金は全額会社の費用になるから法人税の節税にもなる!という理屈です。
退職した従業員は再度雇用しなおすとか、別会社に形式上転籍させて実態としては従来と同じ業務体制を維持する!!なんて考えたことはありませんか?
本当に退職金と認められるのか
倒産処理にあたり、全従業員を一度解雇し、再雇用しなおすという実務があります。
雇用条件の見直しや継続雇用したい人材の再登用を行うことで、再建をより確実にするという趣旨のもと行われるものです。この手続きを行う合理的理由があって、その結果退職金が発生するのであれば何ら問題はありません。
節税!というのは上記のような合理的な理由になるのか?というところがポイントになります。
経済実態としては速やかに再雇用されているため退職の事実がなく、このような複雑な手続きを実行する合理的な理由がなかったとすれば、退職を仮装した賞与支給と認定される恐れがあります。
退職所得の1/2課税のメリットもなかったことにされてしまうかもしれません。
悪質だということで重加算税を課税されてしまうかもしれません。
税務は形式を重視することが多い反面、実質を重視する局面もしばしばあります。安易な節税策に溺れることのないようご注意ください。
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