消費税の基本的な仕組み
2009年10月6日 | 税金の基礎知識
消費税は日常生活に密接にかかわる税金です。それは、日常の消費活動一般に対して課税するものであるため、日本中で消費税を納めていない人はいません。年収1億円の人も年収300万円の人も同じ品物を購入すると同額の消費税を納めることになります。それ故、消費行動を基準として考えた場合、公平な負担を求めた税金だとされています。
消費税は、事業を行う上で不可避的な税金です。一個人としての生活の観点を越えて事業者の観点から理解しておく必要があります。
課税の対象は何か
消費税の課税対象は、原則として国内における財貨・サービスの販売です。財貨・サービスの消費行為に対して課税するものであるため、企業内部での生産行為には課税されません。生産された製品を販売したときに課税されるのです。ここでの販売先は一般消費者に限らず、問屋や小売店への販売も含みます。
また、国内での販売に対して課税されますので、輸出取引やいわゆる3国間取引(国内に搬入することなく他へ販売する取引)に対しては課税されません。
納税義務者は誰か
生産、流通、販売の各段階で他の事業者や消費者に商品やサービスを販売した事業者が納税義務者になります。事業者であることが条件になっていますので、事業として行わない物の譲渡を行ってもその個人は納税義務者になりません。たとえば、友人に物を有償で譲渡したり、ネットオークションで個人の所有物を販売しても消費税の納税義務はありません。
例外的に、輸入を行う場合、保税地域から課税貨物を引き取る者は納税義務者とされています。販売を行う事業者が海外の事業者であるため、その者を納税義務者にすることができないためです。
課税転嫁の仕組みはどのようなものか
販売事業者は販売時に商品の本体価格と消費税額の合計額を回収します。販売者は販売する商品を外部から仕入れているとすれば、その仕入時に仕入本体価格に消費税額を加えた金額を支払っています。たとえば、600円で仕入れ1000円で販売した場合、仕入時に630円(600円×1.05:税率5%とする)を仕入先に支払い、販売時に1,050円(1,000円×1.05:税率5%とする)を顧客から入金してもらいます。消費税額だけで見ると50円入金し30円支払ったことになりますが、納税義務者はその差額の20円を納税することになります。最終消費者に商品が渡るまでの過程で課税された事業者は自らが生み出した付加価値分を納税することになり、最終消費者は払うだけですから結果的に消費税を負担したことになります。これが消費税の転嫁の仕組みです。
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