課税事業者の選択
2009年11月4日 | 税金の基礎知識
消費税に関して納税義務、基準期間について別稿で解説してきました。
その中で何度か登場した「課税事業者の選択」とはどのようなものなのかをご説明します。
課税事業者とは何か
課税事業者とは、消費税の納税義務が課される事業者のことをいいます。
消費税の納税義務は原則として、基準期間の課税売上高が1,000万円超であるかによって自動的に決定されるものです。
逆に、基準期間の課税売上が1,000万円以下の場合や基準期間がない場合(一部の特例があるが)には、自動的に免税事業者になってしまうという仕組みです。
事業者は課税事業者か免税事業者のいずれかに属することになります。
ここで注意すべきことがあります。消費税の納税義務がない(免税事業者に該当する)ということは、消費税の還付を受ける権利もないということです。
たとえば、起業当初はオフィスインフラを整備したり、将来に向けて初期投資を行うということもありえます。このような場合、収入に比して支出が圧倒的に大きいことがありえるので、消費税法では、自動的に免税事業者に該当してしまう事業者への救済手段として、課税事業者の選択という制度を設けているのです。
課税事業者を選択するメリットはどのような場合にあるのか
消費税は売上と同時に顧客から預った消費税と外部に支払った消費税を相殺した残額を納税するのが原則です。次のようなイメージになります。
免税事業者である事業者が敢えて課税事業者を選択する意義は、多額の消費税還付が見込まれる場合に発生します。その事業者が課税売上により預った消費税額よりも、多額の設備投資などにより遥かに多額の消費税支払をしている場合には、課税事業者を選択しなければ消費税の還付も受けられません。
課税事業者選択のための手続き
次の期限までに「消費税課税事業者選択届出書」という書類を所轄税務署長に提出する必要があります。
区分 | 課税事業者選択届の提出期限 |
---|---|
原則 | 課税事業者を選択したい課税期間(事業年度)の開始日の前日 |
新設法人 | 設立事業年度の末日 |
個人事業 | 事業を開始した年の12月31日 |
また、一度課税事業者選択届出書を提出すると最初に課税事業者となった課税期間から2年間これを取り消す(課税事業者選択の不適用)ことができなくなります。
届出書は事業者の納税地を管轄する所轄税務署となります。提出期限が休日(祝祭日・土日)に該当する場合にはその休日の翌日が期限となります。郵便により提出することができ、消印有効として取り扱われます。ただし、小包郵便(EXPACKなど)は信書便ではないため消印による取り扱いがされませんので注意が必要です。
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