免税事業者は消費税を顧客に請求できるか
2009年11月11日 | 税金の基礎知識
自らが消費税の免税事業者に該当しているため、国に消費税を納める義務がない場合、その事業者は顧客に消費税を請求できるのでしょうか?
答えはYesです。消費税を請求してください。
消費税は課税資産の譲渡等という行為に課税される
消費税は商品やサービスあるいは固定資産などの譲渡に対して課税する税金です。譲渡を行う事業者が実際に納税義務を負担しているかどうかは元々関係がありません。ですからすべての事業者は課税資産の譲渡等を行った場合には顧客に消費税を請求することができます。
このような取り扱いになっているのは、課税資産の譲渡等を受けた事業者が購入先がどのような消費税の納税義務を負っているかをいちいち確認することが実務上不可能であることによります。すべての取引先が免税事業者なのか課税事業者なのかを確認しなければならないという仕組みは現実的ではありません。
弱気になるとあとが大変
「起業したての会社で免税事業者なんだから消費税を請求することはできないだろ!?」と取引先に言われたのですが、、、というご相談を受けることがありますが、その取引先の方の誤解ですから、安心して請求して問題はありません。請求しなかった場合には、本体価格相当分としての請求額に消費税が含まれているものとみなされることになります。
免税事業者に該当するか否かはその事業者の基準期間の課税売上高が1,000万円超であるかによって決まります。起業当初は、売上が欲しいこと、取引先との力関係が弱いことから厳しい値引き要求をされることがあります。起業の辛い側面です。
通常、1,000万円の売上では事業継続はおろか社長が生活していくうえでも相当厳しいことになるでしょう。売上拡大を常に図ることが最も重視される時期であり、いずれ1,000万円のハードルを超えることになります。その時になって果たして取引先は消費税を別途請求することを承諾してくれるでしょうか?
また、消費税の税率が改定された場合、増加税率分をスムーズに取引先に転嫁できなければ、事実上の値引きを強いられることにもなります。
言葉のマジックに惑わされないよう強く主張してもらいたいと思います。
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