個人事業で必要となる届出書類
2010年3月24日 | 起業支援
個人事業を開始した場合にも税務署等に届出が必要となります。どのようなものをいつまでに提出する必要があるのかを整理しておきます。
個人事業(事業所得)の起業時に提出が必要な届出書類
起業を個人事業として行う場合にも税務署等に届出をしなければならないことになっています。税務署提出分のフォーマットの入手先と留意事項は次の通りです。
書類名と入手先 | 提出期限 | 備考 |
---|---|---|
開廃業等の届出書 | 開廃業の日から1ヶ月以内 | 期限を過ぎても事実上弊害はない |
青色申告の承認申請書 | 事業を開始した日から2ヶ月以内(業務開始がその年の1月15日以前の場合には3月15日まで) | 期限を過ぎるとその年に青色申告を適用することができないので、期限絶対厳守 |
青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書 | 事業を開始した日(または新たに専従者が発生した日)から2ヶ月以内(業務開始等がその年の1月15日以前の場合には3月15日まで) | 期限を過ぎるとその年に青色事業専従者給与を必要経費処理することができないので、期限絶対厳守 期限後の場合には白色専従者給与(通常青色事業専従者給与よりも小額)しか必要経費算入できないことになる |
現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書 | 事業を開始した日から2ヶ月以内(業務開始がその年の1月15日以前の場合には3月15日まで) | 期限を過ぎるとその年に適用することができないので、期限絶対厳守要 その年の前々年の不動産所得と事業所得の合計が300万円以下の小規模事業者についてのみ適用できるものであるため、対象者は限られる |
所得税のたな資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書 | 翌年の3月15日 | たな卸資産の法定評価方法(最終仕入原価方法)、減価償却資産の法定償却方法(定額法)のままでよい場合には、提出の必要はない |
所得税の有価証券の評価方法の届出書 | 翌年の3月15日 | 事業所得として有価証券を取得する場合のものなので、個人での証券業など特殊な場合にしか関係はない 法定評価方法(総平均法)でよい場合は提出の必要はない |
所得税・消費税に関する納税地の変更に関する届出書 | 提出期限の定めなし(提出日以後納税地が変更される) | 個人の場合、何もしなければ納税地は住所地となる 店舗や事務所に納税地を変更したい場合に提出する |
給与支払事務所の設置・移転・廃止の届出書 | 事実があった日から1ヶ月以内 | 従業員(パート)を雇う場合に提出しておく必要がある |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書 | 提出期限の定めなし | 提出すると源泉税の納付期限を1-6月分を7月10日、7-12月分を翌年1月20日にできる 提出月の翌月から適用となる(提出月までの源泉税の納付は翌月10日までとなる) |
消費税課税事業者選択届出書 | 個人事業としての新規開業の場合はその年の12月31日 | 不動産所得等が他にない場合、新規に開始した事業所得の基準期間の課税売上高はゼロなので、開始当初2期間は消費税の免税事業者となる 免税事業者を辞め消費税還付を受ける場合にこの届出を提出する必要がある |
個人事業は確定申告が必ず必要となります。税務署所定の所得税の確定申告書は市区町村提出分も複写される形式になっていますので、複数の事業所を有する場合などを除き、通常は都税事務所(県税事務所)や市役所に起業の届出は行わなくて大丈夫です。
青色申告承認申請書は必ず提出しましょう
青色申告承認申請書を提出すると原則として青色申告を行うことができます。
青色申告になると、
その他もろもろの恩典が認められています。
青色事業専従者給与の必要経費処理
個人事業を行う場合に家族も一緒に働かれる場合があります。個人事業に従事する家族労働者のことを事業専従者といいますが、事業専従者に対して給与を支払ったとしても無制限に必要経費とすることができないことになっています。
青色申告事業者となり、かつ、「青色申告の承認申請書・青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出し承認を受けていなければ、単なる事業専従者給与という取り扱いになってしまいます。
事業専従者給与は、以下の金額までしか事業所得の経費とすることが認められません。
配偶者の場合 | 86万円(月当たり71,666円) |
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配偶者以外の場合 | 50万円(月当たり41,666円) |
月当たりの金額にしたら、非常に微々たる金額になってしまいます。夫婦で休みなく働いて7万円しか給与として認められないのです。起業時にはこうした労働環境も珍しくないと思います。
青色申告にしてあれば、あらかじめ税務署に届出した(承認された)金額までは、家族労働者に対する給与を必要経費として処理することができるのです。もちろん、他の従業員の給与や同等の労働に対する一般的な給与水準から著しくかけ離れた金額の設定は認められません。申請は受理されたとしても、税務調査で否認される可能性があります。
しかし、単なる事業専従者よりもまともな給与を家族労働者に支払うことができるようになるので、そのような事業実態の場合には是非処理をしておいてください。
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