コラム

借り入れしたら資金繰りが苦しくなった

2010年9月22日 | 中小企業と経営 / 資金調達と決算書

利用可能資金はいくら残るのか

もともと資金繰りが苦しいから借入をしたわけですが、それが粉飾を前提として行ったものであった場合、

税金を払わなければならない

ということは前回書きました。

たとえば、利益ゼロの状態で1000万円粉飾して、利益を見かけ上1000万円にした場合の税金は、

法人税・住民税・事業税=10,000千円×40%=4,000千円

消費税=10,000千円×5%=500千円

合計で450万円も税金を払わないといけないことになってしまいます。

この粉飾で1000万円の融資を受けられたとしても、すでに450万円の運転資金を税金に取られていますので、550万円しか残らないことになります。

借りたものは返さなくてはならない

加えて、

借入金の元本返済もしていかなければなりません。

どれぐらいになるのでしょうか?

5年の長期借入だとすると単純計算で
10,000千円÷60ヶ月=166千円/月
5,500千円÷166千円=33.1ヶ月で利用可能資金はなくなる

1年弁済だと、
10,000千円÷12ヶ月=833千円/月
5,500千円÷833千円=6.6ヶ月で利用可能資金はなくなる

借り入れしたことで、
元本弁済できるだけの利益を計上することができなければ、

上記のようなことになってしまうわけです。

当然、元本返済だけではなく利息の支払いも追加されてしまいます。

枯渇している運転資金を単に穴埋めするための融資であったなら、

ただの延命をするための借入でしかない

といわれても仕方がないのです。

その後、資金ショートしたときに銀行が融資してくれる保証は全くありません。
なぜって?
粉飾の結果、その会社の貸借対照表はぁゃιぃものになっているからです。

藁をも縋る気持ちは分かりますが、

会社がその後どうなっていくのかを冷静に考えた経営

を行っていかなければなりませんね。

本稿は「うちの事務所での出来事」のバックナンバーを加筆修正したものです。





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