コラム

粉飾する前に考えて下さい

2010年10月6日 | 中小企業と経営 / 資金調達と決算書

再建なのか延命なのか

粉飾がいいことだと思ってやるような人はいませんそうせざるを得ない事情があってのことです。世の中、きれい事だけでは済まないことも理解しています。
ただし、今一度冷静に考えてもらいたいと思うのです。

何を考えるか。

それはご自身の事業が再建可能な状態にあるかということです。

銀行に債権放棄してもらうなんてことを考えてはいけません。

銀行が債権放棄するのは、産業再生機構やRCC(整理回収機構)、再生支援協議会といった第三者機関が公正な立場でその会社の事業をすべて洗い出し、客観的に支援するだけの価値があると判断された場合と裁判所が関与する法的整理の場合だけです。

第三者が介入した私的整理にしても、裁判所が関与する法的整理にしても、継続させるべき優良な事業実体がなければ債権放棄も何もあったものではありません。

存続価値のある事業ですか

そうです。
粉飾して自力再建するにしても、第三者の支援を受けて再建する場合でも、確かな事業実体がなければ話にならないのです。

粉飾は会社の健全性を決算書の見かけだけで取り繕うものです。
実体の改善なくして、借入を返済していくことはできません。
実体の大幅な回復なくして、粉飾の残骸を消すことはできません。

延命だけの粉飾ならば、やめた方がいいのです。
時間の問題で必ず第三者にばれます。

時間稼ぎをしている間に、実体の再構築をやりきることができると本人は思いこんでいるのでしょうけど、これができるぐらいならとうの昔にできていたはずではないのでしょうか?
借り入れできたから、これであと何ヶ月は大丈夫だ!?なんて考えていてはいけません。

事業実体を再構築する必要があると思いますが、こういうときはかなりドラスティックなことをしないといけないはずです。それをわかっていたのにできなかったのではないですか?粉飾で黒字になっているはずの会社が急にリストラ始めたら銀行だって怪しいと思うと思いませんか?

安易に後ろ向きな運転資金調達を金融コンサルタントに頼っても意味がないと思います。
金融コンサルタントに頼むべき時は、前向きの資金であってもらいたいと思います。

解決方法は経営の改革しかない

粉飾で時間稼ぎを考えるぐらいなら、さっさと抜本的な経営改善に着手した方がいいとは思われませんか?
経営改善はドラスティックに行っていく必要があります、案外その影響は予想しているほどのマイナスにはならないかもしれません。

その上で、将来に向けた事業計画をしっかりと立てていくべきでしょう。
資金調達だけを目的とした計画はなく、儲けるための計画です。
計画を組むにあたってはゼロベースで再考すべきです。

都銀の不良債権問題はかなり落ち着いたとされています。
今度は地銀や信金の番です。
今後、都銀のように厳しい審査と資産査定が行われる可能性があります。
そうなってからでは手遅れになってしまうかもしれません。
中小企業の事業実体の改善は今から着手しておく必要があると思います。
まだこれからという会社さんは今一度考えてもらいたいと思います。

本稿は「うちの事務所での出来事」のバックナンバーを加筆修正したものです。





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