売上依存率とリスク(その1)
2010年11月24日 | 中小企業と経営
メインの顧客からの発注停止
売上先のシェアをコントロールしていますか?
ある顧問先で実際にあったことを思い出します。
この会社、業界では世界中に名前が通っている超有名な会社の下請けとして仕事をもらっていました。発注元の超有名会社は、超有名であるだけに下請けに対しても非常にタイトな品質管理を要求していました。顧問先は中小企業ながらも要求される品質基準を見事にクリアし、同種の業務の中ではナンバーワンのシェアを獲得していたのです。
超有名会社の内示に合わせて会社のキャパを増強すれば、超有名会社はその分多くの発注を投げてくるといった循環が続いていました。
この結果、この会社の売上構成は、
超有名会社・・・70%
その他 ・・・30%
のような状態になっていたのです。
この会社はまさに順風満帆でした。
ところが、ある日を境に超有名会社との関係が怪しくなってきたのです。
半年先までギッシリ埋まっていた発注が止まってしまったのです。
取引再開に向けた必死の懇願
社長は何がなんだかわかりません。
発注担当者に連絡しても居留守ばかり。
なぜ?なに?どうして?
御社の仕事ともに発展してきた弊社です。
当社の問題は何でも改善します!
発注担当者に懇願の手紙を出してみても何ら反応がありません。
超有名会社の始業2時間前から正面玄関で担当者が出勤してくるのを待ち続けました。それでも一向に話を聞いてもらえません。
試行錯誤で発注担当者へのアクセスを試みましたが取り合ってもらえない状態が1ヶ月続きました。
意味がないとわかっていながらも毎朝待ち続けた結果、発注担当者に少しだけ話をしてもらうことができました。
A社と商談始めたでしょ!
おたく最近いい気になってない?
発注しないって決めてるから、もう来ないでよ!
A社とういのは、超有名会社のライバル会社だったのです。
ライバル会社に営業をかけるなんて10年早いんだよ。
うち抜きでやれるもんならやってみな。
こんな感情を発注担当者に抱かせてしまったようです。
超有名会社との取引実績は他の会社からも高く評価され、あの会社に信頼されるぐらいだから、是非うちの仕事もしてもらいたい。。。こんな営業上のプラス要因にもなっていたのです。
社長は超有名会社に気を遣いながらも他の会社の仕事も問題がないと思われる範囲で受注していたのです。
これが仇になってしまいました。
本稿は「うちの事務所での出来事」のバックナンバーを加筆修正したものです。
Tweet