売上依存率とリスク(その2)
2010年12月8日 | 中小企業と経営
力尽きて倒産
受注残がどんどん減ってきます。
その間、超有名会社にお詫びと追加発注のお願いを継続しますが、発注には結びつきません。
超有名会社の逆鱗に触れないよう他の仕事の受注拡大を図りますが思うように進展しません。
超有名会社の仕事をするためには、現状のキャパを維持する必要がある。
キャパを維持するとランニングコストで赤字になってしまう。
こんなジレンマの中で、社長は超有名会社からの取引再開にすべてをかけることを心に決めていました。
いつか必ず許してもらえる。
そう願い続けながら、1年後この会社は倒産してしまいました。
何がいけなかったのか再考
この会社の経営判断にはいくつかの問題があったことがおわかりだと思います。
発注担当者の逆鱗に触れるような受注をしてしまったことは確かに重要な問題です。
しかし、それ以上に重要だと思うのは、特定の顧客のシェアが大きすぎるということです。
特定の顧客に対する依存度が大きいと言うことは、次のような経営問題を発生させる可能性があります。
1.その顧客の業績や操業度の影響をもろに被ってしまう。
2.その顧客の専属下請けといったイメージが内外に広まってしまう。
3.その顧客の競合先からの発注はリスクを伴う。
4.その顧客に切られた場合、すべての経営面で破綻する。
特定の顧客に対する売上比率が高い会社に時々巡り会います。
伸び盛りの顧客と二人三脚状態で成長している場合には、社長も意気揚々、元気の固まりのように見えます。
確かに、それはそれでいいのですが、経営者としては、今回のケースのようにならないための布石を打っておくべきように思います。
僕は過去の経験を経営者にお話したりするのですが、なかなかピンとこないことの方が多いようですね。
受注が止まらないという保証はどこにもありません。
受注先が倒産したり、どこかの会社と合併したり、懇意にしていた発注担当者が異動になったり、、、
経営サイドとしては、これらのリスクを常に意識しながらリスクを分散しておく必要があります。
因みに、うちの事務所でも売上のシェアコントロールをしています。
特定の顧客に対する売上シェアは10%を超えてはならない。
これがうちの事務所の経営指針になっているのです。
みなさんの会社はどのような指針をもたれているでしょうか?
本稿は「うちの事務所での出来事」のバックナンバーを加筆修正したものです。
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