粉飾な人々(その1)
2011年1月11日 | 中小企業と経営
うちも上場するぞ!
ここからすべてが始まりました。
上場するためには、利益が出ていないと話になりません。
売上がなくても上場できた時代もありましたが、今はそうはいきません。
上場に向けて全社的に営業に檄が飛びます。
売上だ!売上だ!
この目標を掲げる前は、社長自らが営業の前戦に立って営業推進していました。
オーナー系の会社はどちらもそうだと思いますが、社長が一番優秀な営業マンです。
社長が行けば、受注できる。
逆に、社長でも受注できない仕事は誰がやってもダメ!?
そんな空気が社内に万延していました。
ここに落とし穴があったのです。
社長にすべておんぶにダッコ状態。
営業が苦戦すると社長が救世主のように現れてクロージングしていたため、各営業担当者が十分に育っていなかったのです。
上場にあたって重要視されることに、『組織的経営』というものがあります。
組織の力によって業績を維持する体制ができあがっていることが重要とされます。
これまで社長の属人的な営業力により維持されてきた会社でしたから、組織的経営を行える体制にまで会社は成熟していませんでした。
上場の名の下に、経営者としての役割を担うべく社長は営業の前戦から一歩退きました。とたんに売上が確保できなくなってきたのです。
これを補う目的で営業人員がどんどん増強されます。
人件費は飛躍的に増加していきました。
しかし、売上は一向に伸びてきません。
専門知識と顧客のニーズを正確に把握しキャッチアップできなければ受注できないような商品を扱っていたのです。
人海戦術で売上を増やせるような業種ではなかったのです。
(つづく)
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