粉飾な人々(その2)
2011年1月17日 | 中小企業と経営
営業の強化と同時に、上場に向けて社内整備が進められます。
管理部門の強化、組織的な牽制体制の整備・・・・
いずれも上場に向けて必要とされる社内整備です。
これまで一人で処理していたものを2人以上で処理することで、不正や誤謬を防止できるような体制が求められます。
管理職として適格性のある人材の外部登用も進められました。
どの手続も社内の管理コストを膨らませるものです。
それだけではありません。
証券会社との契約、監査法人との契約など、それまで必要ではなかった固定費がどんどん増えていきます。
半年後には、月間のランニングコストは以前の3倍にまで膨れ上がってしまいました。
売上の方は相変わらずで、予算通りに目標を達成することができません。
それでも社長は営業前戦に出ることなく、じっと我慢していました。
売上が低迷する一方で、固定費が飛躍的に増加。
月間の営業赤字は数千万円に及んでいます。
こんな状態で会社を維持していけるはずがありません。
社長と経理部長は資金繰りに奔走。
売上金の回収を早めてもらう一方、支払サイトを1ヶ月延ばしてもらうといった資金調整が急速に進められます。
それでも資金赤字は解消されません。
もはや銀行借入で不足資金を賄うしかありませんでした。
運転資金として5000万円の融資を取りつけました。
一安心といいたいところですが、3ヶ月で資金ショートすることが見えています。
3ヶ月の猶予期間で営業を立て直さなければなりません。
毎日、営業部では檄が飛びます。
毎晩、営業フォーキャストの精査が行われます。
月中はそれなりの売上見込みがあるものの、月末になるとほぼ確実であったはずの受注見込みがガクンと落ちてしまいます。
毎日のハッパを回避するために、営業部員が営業ステイタスを緩めに見積り、報告していたのです。
入金予定と踏んでいた売上金が突然なくなる!
受注見込み情報の信頼性がどんどん低くなってきます。
ダメだ!
もう一度、借り入れしなくては。。。。
前回の銀行に申し込むには期間が短すぎる。
取引がある別の銀行に行くしかない。
上場に向けたバラ色の事業計画を語ることで何とか融資を取りつけることができました。借入がまた5000万円増えてしまったのです。
(つづく)
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