交際費の課税問題あれこれ(個人編)
2011年2月17日 | 税金の基礎知識
所得税では必要経費処理限度額はない
事業所得や不動産所得で交際費処理が問題になることがあります。
法人の場合には、交際費の損金算入限度額が設けられています。現在の法人税では、年600万円までは支出交際費の90%までは損金算入可、10%は損金算入不可となっています。
これに対して、個人の事業所得や不動産所得に関しては必要経費処理の限度額は設けられていません。
何でも必要経費にできるのか
事業所得の必要経費として、キャバクラなどでの飲食費を必要経費処理される方がしばしばおられます。
さて、このような飲食費は所得から控除できるのでしょうか?
常識的に考えれば答えは簡単です。
事業のために必要なものであれば控除できるけれど、事業とは関係なく個人的な嗜好のものであれば必要経費にはなりません!
円滑な取引関係を構築するために取引先を接待する、新規取引獲得のために顧客を接待するといった目的の場合には必要経費性が認められることになるでしょう。
これに対し、日々のストレスを解消するためと称して、自らの慰安のために飲食したものは必要経費にはなりません。典型的なのが1人だけで行った飲み屋での飲食費ですね。このような場合にはどんな理由をつけても、個人の遊興とみなされることになります。
では、誰かと一緒に飲食したものであるなら経費になるのかということですが、たとえば家族で行った飲食も家庭の生活費なのであって、事業との関連性は認められるものではありません。
こういうことをいうと「取引先の人と行った!」ことにすればいいんですか?という方がおられます。いいとか悪いとかという議論ではないですよね(汗)
不自然な交際費
事業規模や事業の特性上、決算処理された交際費が??という場合があります。
たとえば、
- 売上1500万円で交際費が700万円もある!?
- コンサルタント業で多額の交際費がある
- アフィリエイター業で多額の交際費がある
- 不動産所得で交際費がある
そんなに交際費を支出して生活できるんですか?という疑問がわきますよね。人脈紹介や関係構築を事業目的とした顧問業ならわからなくもないですが、常識的には理解しにくいバランスだと思います。
副業収入がある人が飲食費を事業経費に含めているのではないか?なんて疑われる典型です。
コンサルタントというのは、一般的に接待する側ではなく、接待される側だ、という認識が税務署にはあります。
先生商売なのに何でそんなに交際費が必要なんですか!先生の遊び代が経費処理されている可能性が高いのでは、、、ということになりやすいですね
アフィリエーターに限らずインターネット上での事業で、顧客や取引先と日常的に会って交渉等を行う必要性が低いと思われる事業というのがありますよね。事業の性格上やはり不自然だと思われやすいものです。
不動産賃貸業で交際費を支出する習慣はあまりないのではないでしょうか。物件のオーナーさんがテナントに中元歳暮を送るということはあるかもしれません。入居者はお客様ですからね。不動産業者と良好な関係を構築するため!?といっても年がら年中接待するなんてことは考えにくいものなので、多額の交際費が計上されるのはやはり不自然です。
税務署はこうした不自然な交際費支出がないかをチェックしているようです。もちろん、交際費だけをチェックしているわけではありません。全体のバランスと絶対額をモニタリングしていると理解しておくべきです。
税務署とすれば、ある程度の修正増差額が発生すると見込まれるものから順番に税務調査をしていくことになります。その意味で、ある程度の期間、『泳がせておく』という思考もあるようです。
バレるとどうなるのか
実際には一人だったり、家族と行ったものを取引先の人と行ったことにして経費処理し、後日このことが発覚した場合、税務的には、
仮装隠ぺい行為
とみなされることになります。
仮装隠ぺい行為に対しては税法は厳しい取り扱いをすることになっています。
税務署がそのように認定すれば、
必要経費性が否定されることはもちろん、
重加算税(35%)
を課されることになります。
たとえば、100万円仮装した支出を経費処理していた場合、
追加所得税 = 100万円 × 所得税率
重加算税 = 追加所得税 × 35%
延滞税 = 追加所得税 × 延滞日数 ÷ 365日 × 14.6%(最高の場合)
おまけに、住民税があとから請求されることになります。
確定申告シーズンになりましたが、上記のようなことにならないようお気をつけください(笑)
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