コラム

粉飾な人々(その5)

2011年2月7日 | 中小企業と経営


リスケを行う場合、融資金を金融機関が納得する期間で弁済できるような計画を提示しなければなりません。

その間、追加の資金注入を期待できないのは当然です。

弁済を猶予していること自体が新規で融資をしているようなものだからです。



会社は5年で借入金を完済する計画を立てることにしました。

エクセルで色々な計画が立てられていきます。



借入金が3億円だから5年で支払うためには、年間6000万円の元本返済が必要。

ということは6000万円の利益が必要な訳だ。

固定費はリストラ後で年間3億6千万円か。

まっとうな利益率が20%なので、18億円の売上か・・・・。

結構きついなぁ。。。。



この計算どこか間違っています!

税金を無視していませんか!?



借入金を返済する原資は、税引き後の利益。

だから、年間の必要な税引き前の利益は6000万円÷(1-40%)=1億円。

その他の前提条件が正しいとすると必要な売上は、23億円ということになる。



えええええええええええ。

5億円も売上が増えるの?????

ダメだ。



もっとリストラしなくちゃ。。。

延々とシミュレーションが続く・・・・



何とか計画書をまとめて金融機関と勝負です。

(銀行は何も悪くありません)

・・・・・・・・・・・・・・・・



計画の修正を数回にわたり繰り返し、ようやく銀行の了解取りつけることができた。

結局、上場のために整備した社内体制はすべて解消し、身軽になって仕切直しということになってしまいました。

上場によって創業者利潤を得るはずだったのに、借入の弁済に明け暮れることになってしまったのです。



粉飾によって、問題を解決することはほとんどできません。

まず社内に起こっている問題の根本を断ち切らないと、遅かれ早かれ破綻を迎えることになります。

幸いこの会社は金融機関の支援を受けることができましたが、どの会社にも温情的な処置をしてもらえるわけではないというのが現実です。



粉飾を考える前に足下を固めなければなりません。



(おわり)

日繰り表テンプレート

2011年2月4日 | 中小企業と経営 / 資金調達と決算書

日次資金繰り表(日繰り表)テンプレート

前回は月次の資金繰り表テンプレートをご提供しました。

今回は日次の資金繰り表(日繰り表)テンプレート(EXCEL)をご提供します。
下のボタンからダウンロードできます。

ご自由に修正してご利用いただいて結構です。

日繰り表って何?

言うまでもなく、資金繰りは月末の預金残高だけでは行えません。
手形の引き落とし日や預金口座からの自動振り替えは、会社の裁量で決められるものではありません。
また、売上代金の回収も相手先によって変動する可能性があります。

こうした入出金のデコボコを日次で残高管理するのが日繰り表です。
手元資金残高が潤沢な会社はそれほど気にする必要はないのかもしれませんが、資金がタイトになってきている場合は日次管理しておかなければなりません。

時々見かける資金繰り表


このような資金繰り表を作成している会社が時々あります。絶対にいけないというわけではありませんが、あまり好ましいとは思いません。

なぜか?

  • その月の営業収支はプラスなのかマイナスなのか?
  • 営業収支以外の収支にはどのようなものがあって、営業収支とのバランスはどうか?
  • 翌月の資金繰り予測を作成しにくい
  • 収支項目の漏れを生じやすい、計算式が壊れやすい
  • といったことがあるからです。

    時には、銀行に日次の資金繰り表の提出を求められることもあります。
    銀行はこのパターンの資金繰り表を好みませんし、このような資金繰り表を提出する会社の財務レベルを高評価してくれないものです。

    今一度、日次の資金繰り表を見直してみる必要はありませんか?

    資金繰り表テンプレート

    2011年2月3日 | 中小企業と経営 / 資金調達と決算書

    月次資金繰り表ダウンロード

    下のボタンから一般的な資金繰り表のテンプレート(EXCEL)をダウンロードできます。

    ご自由に修正してご利用いただいて結構です。

    資金繰り表を作成する意味

    経営上、資金ショートは発生してはなりません。
    手形や小切手を振り出している場合はもちろんのこと、過不足なく外部への支払を行えるだけの資金を手持ちしていなければ企業経営を行うことはできません。

    いつどのような支払が必要となるのか、その際に十分な手持ち資金を保有しているのか、もし不足がある場合にはどのようにして不足資金を捻出するのかを検討するのが資金繰り管理です。

    銀行融資を申し込む際にも、資金繰り表の提出を求められることがあります。銀行から求められてから資金繰り表テンプレートを検索しているようでは困ります。

    不足資金は銀行から借りればいい!?

    このように考えている方が稀におられます。
    銀行は会社のお財布ではありません。

    資金使途と返済見込みが明確ではない融資を銀行は嫌います。

    たとえば、大きな案件を受注できるのだが、そのためには在庫投資や制作資金を先行して支出しなければならない。でも手元資金が不足するので、売上代金が回収されるまでの期間だけ短期で融資を受けるというのであればOKです。

    しかし、毎月営業赤字を計上していて運転資金が不足しているので借入で賄いたい、借入金の元本弁済を行うと手元資金が不足するので、不足分を追加借入したい、というのはあまり好ましくありません。特に、前者のように恒常的に営業収支が赤字になっている場合、借入残高は増加する一方となってしまいます。
    銀行としてもその会社に対する与信限度が必ずあります。無限に融資してくれるわけではありません。中小企業の場合、信用保証協会の保証限度額が融資限度額になってしまうことも多々あります。

    安易に不足資金を銀行融資で賄うことを考えるのは健全ではありません。

    自ら資金繰り表を作成して資金の動きを把握しておく

    資金繰り管理は会社が行うのは当然です。
    会計事務所が行ってくれるものではありません。仮に会計事務所にアウトソーシングしていても、計算間違いが万が一あった場合、責任をとってくれる保証はありませんし、対外信用を失うのは会社自身です。

    時々、自分の会社の資金がどのように動いているのかを正確に把握できていない経営者がおられます。借入依存体質の経営者に多くみられるパターンです。

    自信のない方は自分自身の会社の資金繰り表を再確認してみてください。




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