──現在、上原さんは中小企業支援、創業支援を柱にしていらっしゃいますが、もともと監査法人にいらっしゃった頃に上場支援の部門にいらした経験が活きているのでしょうか。
上原いいえ。監査法人と契約するお客さんは、みんな成功者。当時の基準では最低でも売り上げが40億あるような、一握りの優等生でした。僕はそこに疑問を感じたんですね。実はここにたどり着けない、もっと小さいビジネスをやってる、小さくても芽がある会社というのがたくさんあるんじゃないかと。そういう会社が、経営について相談する相手がちゃんといるのだろうかと……。それで、結果的には監査法人を飛び出しちゃったんですけどね。実際に小さな会社と関わってみると、監査法人の世界とは全然違いました。経営者は税金のことだけでなく、さまざまな課題を気軽に相談できる相手を必要としていると肌で感じました。
──なるほど。
上原まず第一に、ビジネスを始めた人たちが、やっぱり笑顔でいられることが大事なんです。もちろん苦しい時だってあるでしょうが、そこを必死になって乗り越えられること。たとえば事業を始めた後に、資金が必要になってお金を借りたら、それで安心しちゃう人がいます。だから「お金が入ったときにこそ気を引き締めなさい」といつもキツく言ってるんですよ。10年後もしっかり会社が存続できるようにするというのが、僕のこの世界にいる理由のひとつだと思うんです。
阿部上原さんは歯に衣着せずにはっきり言ってくれるし、僕も逆に言ってもらえる方がありがたい。
上原中小企業と一緒にいて楽しいなと思うのは、“生きる術”をよく知ってる経営者がたくさんいること。自分自身の看板で生きていかなきゃいけないから、生きていく力がある。会社の看板で生きてるのか、個人の看板で生きてるのか——その差なんですよね。
阿部上原さんもそのまま監査法人にいらっしゃれば、変な話、一生安泰だったわけですよね。なぜ今ご自分で事務所をやっているのかというと……
上原今の方が“生きてる感”があるんです。お客さんとともに生きてる。
──阿部さんにとって、上原さんの存在とは?
阿部会計士というよりも、パートナー、相談役。単にゴールで待ってるコーチというよりは「頑張れ」と言いながら一緒に走ってくれるような、マラソンの監督みたいな存在(笑)。自分たちのキャパシティを超えてペースを上げてしまいそうになったときは、「落とせ」と言ってくれるだろうし、逆に「今なら頑張れるから、上げていけ」って言ってくれたりもする。でも、もちろん最終的に決めるのはあくまでも自分たち。だから、きっと評論家じゃないということだと思います。
──それでは最後に、これから起業したい方々に向けて上原さんからメッセージをお願いします。
上原起業には大きなリスクがともないます。だから、中途半端な気持ちだったらやめた方がいい。構想や企画段階だと、夢がどんどん広がり、独りよがりな起業計画になりやすいもの。みなさんのプランを客観的第三者的視点で見つめなおすためにも無料相談を受けていますから、慎重には慎重を重ねて。一人でも多くの一生懸命な方と、ぜひ一緒にお仕事していきたいと思っています。