創業期の地道な営業により人脈が拡大し、実績を積み重ねたことで会社自体に信用力がついてくると、損益分岐点を安定的に越えられるようになることでしょう。損益分岐点の突破により会社の資金繰りは一気に改善してきますし、売上も底堅く伸びていきます。拡大期への突入です。
拡大期では、それまで受け難かった融資も順調に受けられるようになり、経営者は資金面での心配から一気に開放されることでしょう。それまで抑えていた役員報酬や給与もようやく引き上げられるようになります。会社は次のステップに入った訳ですから、拡大期にあわせた経営方法に軌道修正していく必要があります。
経営者だけが儲けられる仕組みでは、その会社の将来は長くありません。
というのも、経営は一人でするものではなく、組織力により利益を生み出していかなければ、強い会社にすることができないからです。
急激な売上拡大局面では、どうしても人手不足になります。しかし、急激に人員拡大を行っても結局うまく使いこなすことができず、資金を失ってしまうというケースがしばしばあります。人を動かす組織としての仕組みが出来上がっていないことが多いからです。
こうした仕組みは、マニュアルを買ってきてその通りすればよいというものでは決してありません。その会社の成長段階に合わせて、自らの仕組みを作り上げていかなければなりません。
そうした会社組織の整備は、下記のような少し不規則な階段状の成長軌跡になります。
人件費やオフィス家賃は、会社にとって最も大きな固定費です。一度その支出規模を決定してしまうと簡単にこれを減らすことができません。急拡大を狙った結果、借金だけが膨らんでしまったという事態は避けたいものです。
階段状であっても会社の成長段階に合わせた、地道で段階的な投資を行っていきましょう。
創業期の資金調達は、日本政策金融公庫や信用保証協会付の銀行融資が中心となります。これらの融資は無制限に行われるものではありません。無担保にしても有担保にしても限度が必ずありますし、その額は必ずしも大きなものではありません。
会社規模が大きくなればなるほど必要運転資金の額も増大していきます。会社の運転資金をすべて融資に頼ると、融資それ自体が成長の制約要因になってしまうものです。
一方で、会社の成長期では潤沢な利益を計上できるかもしれません。
この利益に対して多額の税金が課税されるのを嫌って、せっせと経費を使って節税対策を行う会社があります。会社が成長し始めたのに、まだ整備できていない社内体制があれば、節税目的の支出よりも会社の体制作りにまわしましょう。会社の体制作りに使った経費ももちろん節税になります。
そして、一通りの会社組織の整備が終了したら、節税目的の経費支出によって課税の繰延をある程度行ってから、内部留保にまわしましょう。そうしないと、内部留保の蓄積が遅くなってしまいます。内部留保は、税金負担後の利益の累積として、税金と言う支出を伴いますが、税金支払後の資金を確実に社内に貯蓄する大切なものです。
金融機関が融資限度額を検討するときには会社の内部留保の状況は大切な判断材料になります。ですから、内部留保の蓄積が遅くなることは、会社の成長を遅らせることにもなりかねないのです。より大きな成長のためにはより多くの資金が必要となります。その大きな源泉のひとつが内部留保ですし、融資枠の引き上げにもつながる重要なポイントでもあります。
会社の規模拡大は、最終的には資金の有効活用と効果的な投資によってもたらされるものです。
一人のスーパー経営者の力で相当程度の規模の会社に成長させられることもあります。優れた経営者は、より大きくより強い会社にするため、的確な組織構築のために人材育成投資と組織編制をいつも頭に入れているものです。
ですから、管理組織を作り上げる時は、次に狙う市場規模に合わせて営業組織を構築するだけでなく、大勢の社員の役割分担が有機的につながって全社をコントロールできるようにする必要があります。
組織が有機的に機能することで、自然と利益が生み出される仕組みが維持されますし、それぞれの分野の専門家が協力することで危機を乗り越える組織力が醸成されるものです。組織化に成功した会社は一人のスーパー経営者の腕力を超える力を発揮することができるのです。
大企業であれば、時間をかけて新卒者を教育し、会社の成長に必要な各分野の専門家に育て上げる体力があるかもしれません。しかし、中小企業で同じように人材投資をするのは時間的にも資金的にもなかなか難しいものです。
中小企業が会社規模の拡大を考える場合、効率的な資金コントロールと投資バランス、固定費負担のリスクを考えて、外部専門家を活用するのが得策と言えるでしょう。
私たちは税務の専門家であると同時に、財務的視点から会社を見守ることができる専門家です。多くの中小企業の税務対策と財務分析の両方の経験を積んでおりますので、ときに経営的視点から、ときに管理的視点から経営者へのアドバイザーになることができると考えております。
中小企業経営者のみなさんのアドバイザーとなり、会社の成長を支えることが私たち外部専門家の役割だと考えます。ご興味がある場合はお気軽にお問い合わせください。